行基(ぎょうき)は、奈良時代に活躍した僧侶です。当時の仏教は「国家を護るためのもの」であり、僧侶が勝手に外に出て民衆に教えを広めることは法律(僧尼令)で禁止されていました。
しかし行基は、その禁止を破って民衆の中に飛び込みました。各地で仏教の教えを説くだけでなく、橋を架け、堤防を築き、困窮した人々のための宿泊施設(布施屋)を作るなど、社会事業に尽力しました。このため、当初朝廷からは「勝手なことをする僧」として弾圧を受けましたが、民衆からは絶大な支持を集め、「行基菩薩(ぎょうきぼさつ)」と敬われました。
その後、聖武天皇(しょうむてんのう)が752年に開眼される東大寺の大仏(奈良の大仏)を造ることを決意した際、莫大な費用と人手が必要となりました。そこで天皇は、民衆の心をつかんでいる行基に協力を要請します。
行基はこれを受け入れ、弟子とともに全国を回って寄付や協力を呼びかけ、大仏造立を成功へと導きました。その功績から、行基は僧侶として最高位の「大僧正(だいそうじょう)」という称号を初めて授けられました。